ノンフィクション『バッタを倒しにアフリカへ(前野ウルド浩太郎 著)』の感想レビュー。
長崎旅行中に読んだ本。
日本で安定を狙ってやりたくない研究を続けるか、
自分の好きなバッタの研究をするために海外に行くか・・・
男は決断した!
そしてアフリカのモーリタニアに旅立った。
この本は、バッタが好きすぎてバッタに食べられたい男が夢を実現するために日本を飛び出した
バッタが大量発生し、作物に甚大な被害を受けているモーリタニアの人々を助けるために立ち上がった“バッタ博士”の記録である!
もくじ
本の紹介
バッタの群れは海岸沿いを飛翔し続けていた。
夕方、日の光に赤みが増した頃、風向きが変わり、大群が進路を変え、
低空飛行で真正面から我々に向かって飛んできた。
大群の渦の中に車もろとも巻き込まれる。
翅音は悲鳴のように重苦しく大気を震わせ、耳元を不気味な轟音がかすめていく。
このときを待っていた。
群れの暴走を食い止めるため、今こそ秘密兵器を繰り出すときだ。
さっそうと作業着を脱ぎ捨て、緑色の全身タイツに着替え、大群の前に躍り出る。
「さぁ、むさぼり喰うがよい」
モーリタニアの場所
感想
アフリカで定期的に大発生し、農作物を食い荒らすサバクトビバッタの研究をするために渡モ-した著者。
その実態はバッタと触れ合いすぎてバッタアレルギーになってしまうほどのバッタ好き。
単身モーリタニアに単身乗り込み現地の仲間たちと協力してバッタを追いかけるパートがメインで進行する。
その他にも、人間関係やモーリタニアのこと、
日本の研究者の現状、軍資金を得るための四苦八苦
と、バッタ研究を通してのフィールドワーク研究者の苦悩と楽しさを面白おかしく語った本。
この本の面白さはサバクトビバッタの昆虫本としてもあるけど、
本質は、”生き方”について語っているように思える。
不安なことだらけ(金はない、行ったことない国、言葉は通じない)だけど、好きなことのために外の世界に飛び出して、
四苦八苦しながらも邁進する姿が応援したくなる。
最初は一人だったけど、現地でパーティを組み行動していくうちに、他の研究仲間たちも自分を認めてくれ、
発進し続けることによって様々な人たちの目に止まり問題を解決していく工程がね。
読んでいて、楽しいんですよ。
しかも、故人の話じゃない。
数年の誤差はあるけど、リアルタイムのサクセスストーリー。
ほんと面白い。
なお、本著内でサバクトビバッタの研究や防虫の決着はついていません。
今後の研究成果がどうなるか?そこにも注目です!
オススメ!
簡単なサバクトビバッタの生態
他人に語るウンチク。昆虫知識として。
サバクトビバッタには二種類のモードがあるのです。
孤独相(こどくそう)モード
普段見かける大人しいバッタ。
群生相(ぐんせいそう)モード
仲間の数が増えると出現する狂暴モード。
どんどん群れる習性があり、身体の色が変わり、
空を飛べるように羽根が発達してくる。
そして、長距離を移動し、作物を食い荒らす。
相変異(そうへんい)
生活条件や個体群の密度の変化によって、姿や行動を変えることを相変異(そうへんい)呼ぶ。
これで、バッタに一つ詳しくなったね!