映画『舟を編む(石井裕也 監督)』の感想レビュー。
辞書を作る話。
大筋は原作準拠なので、小説版の感想も見てみてね。
もくじ
あらすじ
出版社・玄武書房では国語辞典『大渡海』の刊行計画が進められていた。
おなじく玄武書房に勤める営業部の馬締光也(まじめみつや)は、
定年を間近で後継者を探していた辞書編集部のベテラン編集者・荒木公平(あらきこうへい)に引き抜かれ、辞書編集部に異動することになる。
社内から「金食い虫」と呼ばれる辞書編集部。
誰もが行きたがらない部署だったが、馬締は次第に言葉への愛着心を持ち持ち前の粘り強さを発揮し、辞書作りに必要不可欠な存在になっていく。
馬締は個性豊かな編纂者たちと一緒に『大渡海』は完成させることができるのか?
感想
全体的な雰囲気は良かった。
マジメの成長が演技や言葉の抑揚で分かるってのは、映像ならでは。
作品の舞台は1995年。
小説と比べてテンポが良い。
それが、成長物語としてのカタルシスが弱くなっている気がした。
あと、トラさん(猫)が演技派。
原作と映画で演出の違い
マジメ君が古典文体の恋文をカグヤに渡してその返答の一連の流れ。
原作
かぐや「ごめんね。訳しながら読んだから時間がかかっちゃって・・・」
映画
かぐや「読めないから(職場の)大将に読んでもらった」
かぐや「ラブレターだって知ってたら頼まなかった。恥ずかしい」
おいいいい!!
真剣に渡してきたものだから自分で時間かけて訳したんでしょ!?
めんどうだから大将→読まれて恥ずかしい
ってええええ!!
原作
かぐや「手紙、ありがとう」
映画
かぐや「手紙、ありがとう」
かぐや「けど、ちゃんと言葉で言って」
てんめェ!!
これは、『辞書と作る』という『言葉』のッ!!『文字』のッ!!
物語なんだよッ!!
言葉はお呼びじゃないんだッ!!
なお、マジメが訳を任された『こい【恋】』の項目には
ある人を好きになってしまい、寝ても覚めてもその人が頭から離れず、
他のことが手につかなくなり、身悶えしたくなるような心の状態。
成就すれば、天にものぼる気持ちになる。
と載ったという。いいね!
映画も悪くはないけど僕は、原作派。