小説

【人間に向いてない】ある日異形の姿になった引きこもりの息子。それでも愛せますか?【黒澤いづみ】

『人間に向いてない』表紙

小説『人間に向いてない(黒澤いづみ 著)』の感想レビュー。

ある日突然虫になった息子。
それでも息子を愛せるのだろうか?
それでも僕を愛してくれるのだろうか?

あらすじ

ある日突然発症し、一夜のうちに人間を異形の姿へと変貌させる病「異形性変異症候群」。
政府はこの病に罹患した者を法的に死亡したものとして扱い、人権の一切を適用外とすることを決めた。
十代から二十代の若者、なかでも社会的に弱い立場の人たちばかりに発症する病が蔓延する日本で、異形の「虫」に変わり果てた息子を持つ一人の母親がいた。
あなたの子どもが虫になったら。それでも子どもを愛せますか? メフィスト賞受賞作!

感想

引きこもりの若者が突然変異を起こして、虫や犬、はたまた植物になってしまう奇病が始まった世界。
変異してしまった人間は元に戻る見込みがないため生きていても(人間として)死亡扱いとなる。
元々引きこもりで家族のお荷物とされていた変異者たちは法律的に人間から格下げされたことによって、保健所へ引き取られ殺処分されていった。
それでも、美晴は虫になってしまった息子を家で飼育することにして・・・

コミュニティ(家族)のお荷物にだった人間を合法的に排除できるとしたら、自分だったらどうするだろう・・・
なんて考えてしまう。
後半、息子の心情が吐露されるんだけど、引きこもりになった原因は父親よりも母親の影響が強そうだ。

最終的に美晴の家族は息子に続いて夫も変異してしまうんだけど、変異した息子と夫の対応の違いが生々しい。

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