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【そして、バトンは渡された】親の構成が七回変わった少女の物語【瀬尾まいこ】

小説『そして、バトンは渡された』表紙

小説『そして、バトンは渡された(瀬尾まいこ 著)』の感想レビュー。
離婚、再婚、離婚、再婚と家族構成が七回変わった少女のおはなし。

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あらすじ

森宮優子、十七歳。
継父継母が変われば名字も変わる。
だけどいつでも両親を愛し、愛されていた。
この著者にしか描けない優しい物語。
「私には父親が三人、母親が二人いる。 家族の形態は、十七年間で七回も変わった。 でも、全然不幸ではないのだ。」
身近な人が愛おしくなる、著者会心の感動作

感想

殺風景な表紙、リレーのバトン風の体にこけしのような少女の頭。
これは優子を表しているのかな?

瀬尾先生は、以前に中学駅伝をテーマに面白い小説を書いていたので、
【あと少し、もう少し】中学にも駅伝があった!?3km×6人、18kmの青春小説【瀬尾まいこ】
今回もマラソンや駅伝を題材にした話かと思っていたら、人間がバトンの育児をリレーする話だった。

父親が再婚して、離婚するときに継母に付いていくなんて展開現実にありえるのかね?
優子の親になる父親三人、母親二人はみな良い人づくしなんだけど、
梨花さんが破天荒&自由人だからこんなに家族構成が変わっているともいえる。

回りからみたら酷い家族遍歴だけど、
当人たちはまったく気にせず、お互いを思いやり生きていく、そんなお話。

物語は、優子の結婚式で締めくくられる。
そこには、生きている歴代の父母たちが勢ぞろいして・・・

優子の家族遍歴

思春期にこんなに家族構成が変わったら歪んでしまいそう。
でも、親が良い人たちだったし、
優子も現状を受け入れる達観した心があったから成立したんだろうね。

はじまり

父:水戸(実父)
母:母(名前不明)

母は優子が三歳になる前に事故死してしまう

一回目

父:水戸(実父)
母:なし

父子家庭
小学校二~三年まで

二回目

父:水戸(実父)
母:梨花さん

小学校三年の時に再婚
水戸さんが海外転勤になる小学校五年まで

三回目

父:なし
母:梨花さん

水戸さん、ブラジルへ海外赴任
国外に出たくないので梨花さんと一緒

小学校六年まで

四回目

父:泉ヶ原さん
母:梨花さん

ピアノが弾きたい!という優子の願いを聞き、
グランドピアノ持ちの男と再婚した梨花さん

中学一年まで

五回目

父:泉ヶ原さん
母:なし

家政婦が何でもやってくれる家で、
なにもしない生活に耐えられなくなった梨花さんは出て行った。
毎日ちょくちょく訪ねてくるけどどこかで離婚しているはず?

中学三年まで

六回目

父:森宮さん
母:梨花さん

梨花さんが再婚という形で強引に引き取られた。

二か月後、梨花さんは家をでて音信不通。
その後、離婚届が手元に届く。

七回目

父:森宮さん
母:なし

物語開始時の家族構成。
高校三年になる現在まで続いている。

作中の言葉

冬休みは大家さんの家の片づけを手伝った。
老人ホームは満員のところが多く、大家さんが入るホームはずいぶん遠い場所だという。
ポチは大家さんの息子さんにもらわれていくことになった。
本当に強くならなくてはいけない時がやってくる。
大家さんの家がきれいになっていくのに従って、私はそう感じた。

自分を可愛がってくれた存在がまた一人遠くへ行ってしまう。
甘えているだけでなく、自立しなければ。
と心に誓う場面。

思い立ったら動かずにいられない梨花さんが、不満を抱えたまま暮らしていけるはずがなかった。
きっと月末に食べることに困るのとはまた違うしんどさが、この家にはあったのだ。

快適すぎるのも考えもの。
それが楽だと感じる人もいれば、物足りなさを感じてしまう人もいる。

悲しいわけではない。
ただ、私たちは本質に触れずうまく暮らしているだけなのかもしれないことが、
何かの瞬間に明るみに出るとき、私はどうしようもない気持ちになる。

血が繋がっていないからこそ、踏み込めずに表面的に家族を演じてしまう。
難しい距離感だよね。

「自分の明日と、じぶんよりたくさんの可能性と未来を含んだ明日がやってくるんだって。
親になるって、未来が二倍以上になることだよって。」

自分の未来、子の未来で複数の未来を楽しめる。という考え方。
いいね。

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