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【江戸川乱歩傑作選】初期乱歩短編傑作9編【江戸川乱歩】

『江戸川乱歩傑作選』表紙

『江戸川乱歩傑作選(江戸川乱歩 著)』の感想レビュー。
耽美的トリック×倒錯的フェティシズムが交錯する、本格探偵小説を確立した初期傑作9編。

本の紹介

読者諸君、これが日本で一番美しい犯罪小説だ。
耽美的トリック×倒錯的フェティシズムが交錯する、本格探偵小説を確立した初期傑作9編。

日本における本格探偵小説を確立したばかりではなく、恐怖小説とでも呼ぶべき芸術小説をも創り出した乱歩の初期を代表する傑作9編を収める。
特異な暗号コードによる巧妙なトリックを用いた処女作「二銭銅貨」、
苦痛と快楽と惨劇を描いて著者の怪奇趣味の極限を代表する「芋虫」、
他に「二癈人」「D坂の殺人事件」「心理試験」「赤い部屋」「屋根裏の散歩者」「人間椅子」「鏡地獄」。

感想

二銭銅貨

「あの泥棒が羨ましい」
近所の工場で大金を盗んだ泥棒を思う貧乏学生二人。
泥棒は捕まったものの肝心の大金のありかがわからない・・・
学生の片割れは、お釣りの中の二銭銅貨の中に秘密に気づき、
大金の在処を知ろうと頭をひねるが・・・

江戸川乱歩の処女作。
作品名と、「あの泥棒が羨ましい」というセリフだけは知っていた。
暗号の部分は「ふーん」と読み飛ばしてしまった。
日本語の暗号文は最先端だったらしい。

二癈人

若い頃、夢遊病患者だった主人公が老人になり、その時の状況を独白する話。
自分は夢遊病だと思っていたが、それが夢遊病に仕立てられていたことだとしたら・・・?

それに気が付いた時の老人の気持ちと、
聞き手の一人が夢遊病に仕立てた張本人(かもしれない)だったら?
読み終わった後、どうなったのだろう?を想像するのが楽しい作品。

D坂の殺人事件

古本屋で起きた殺人事件。
家のカギは空いていたけれども、状況的には殺人事件。
事件当時、古本屋向かいの喫茶店にいた主人公は犯人やトリックについてあれこれ想像するが・・・

当時の世情風俗を知らないとたどり着けないトリック。
心理的盲点みたいな内容。

心理試験

強盗殺人をした主人公が容疑者の一人として尋問されることになった。
尋問相手は心理試験で有名な判事。
主人公はあらゆる対策をして心理試験に挑むが・・・

心の隙が生まれたところに心理攻撃は刺さるね。
予定外のことが起こっても短慮せずになぜそれを問うのか?
を考えた上で反論すれば避けれたのかな?

赤い部屋

秘密倶楽部に招待された男は、偶然を利用した殺人をしてきたことを告白する。
例えば、車に轢かれた人を二つある医者の内ヤブ医者の方を紹介するとか、
ひねくれ者の盲目者を穴に落ちるように誘導したりなど。
そして、現在99人の人間を偶然を装い間接的に殺害してきている。
男が100人目の偶然殺人に選んだ人間とは・・・

ネタばらしをした時の肩透かしをくらったかのような秘密倶楽部の面々。
巨万の富を気付いた倶楽部の面々は、罪に問われない殺人の話を聞き、どう思うのか?
自分もやってみたくなったのではないか?
そんな余韻をかんじる作品。

屋根裏の散歩者

何事も飽きっぽい男がたどり着いたのは、新築アパートの屋根裏を徘徊することだった。
普段すまし顔のアイツの私生活や、
カワイイ女性の痴態など様々な事を楽しんでいた。
そしてある日、屋根裏から毒液を垂らして住人を殺害する方法を思いつく・・・
飽きっぽい男が求めた刺激の結末とは?

人間椅子

女流作家の元に一つの手紙が届いた。
それは、椅子職人が自分が入れる椅子をつくったことを独白する内容だった。
最初は外人向けホテルのロビーに設置され、様々な人々の感触を体験したこと。
ホテルが売り払われ、椅子が競売にかけられたこと。
椅子は、とある資産家に買い取られたこと。
椅子は現在、資産家の妻が使用している事などが書かれていたのであった。

手紙の内容が嘘か本当か確認できないところに想像力の余力を残させる。
すごく恐ろしいことなんだけど、本当であってほしいとも思ってしまう。

鏡地獄

鏡が大好きな主人公。
両親が無くなり、莫大な遺産を鏡の制作に没頭する。
最終的に自分が入れる球体の鏡を制作し乗り込むものの、
一晩その中に入っていた主人公は・・・

鏡狂信者が鏡を耽溺するものの最後には鏡の性能を受けきれずに脳がパンクしてしまった男の末路。

芋虫

奇跡的に戦地から帰還した傷痍軍人。
が、手足はもがれ鼓膜は破れ聴力は戻らず、
喉は焼けて声を出すことができず、
片目は潰れ残ったのは右目の視力のみ。
人間でありながら芋虫みたいになってしまった男とそれを介護する妻のお話。

身動きが取れない夫に対して当初は献身的だった妻は・・・
オチも含め救われないけど、読む手が止まらなかった。

まとめ:記憶に残る作品群

短編ながらインパクトが絶大な作品群。
僕が好きなのは『人間椅子』『赤い部屋』『芋虫』
エログロナンセンスが娯楽の本質なのです!
※知った言葉を使いたがる症候群

短編集で読みやすいし、
古い言葉遣いは現代語訳されている。
江戸川乱歩入門書としては最適な一冊です。オススメ!

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