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【功名が辻1巻】男の出世は妻が支える?戦国時代の夫婦二人三脚物語開幕!【司馬遼太郎】

『功名が辻』文庫1巻表紙

小説『功名が辻1巻(司馬遼太郎 著)』の感想レビュー。

もくじ

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【功名が辻1巻】男の出世は妻が支える?戦国時代の夫婦二人三脚物語開幕!【司馬遼太郎】←イマココ
【功名が辻2巻】時代は乱世、本能寺の変から秀吉が関白に。時代の波を乗りこなせ!【司馬遼太郎】
【功名が辻3巻】ついに秀吉が亡くなった。伊右衛門・千代はどのように動くのか?【司馬遼太郎】
【功名が辻4巻】東軍に属した伊右衛門は四国を貰う【司馬遼太郎】

あらすじ

天下にむかってはなばなしく起ち上がった織田信長の家中に、
ぼろぼろ伊右衛門とよばれる、うだつの上がらない武士がいた。
その彼に、賢くて美しい嫁がくるという・・・
伊右衛門は妻千代の励ましを受けて、功名をめざして駆けてゆく。
戦国時代、夫婦が手をとりあってついには土佐一国の大名の地位を得た山内一豊の痛快物語。開幕!

感想

乱世で50石の武士が、結婚して立身出世していく物語。
賢い妻の千代が旦那を上手いことヨイショして、良い方向に軌道修正していく。
一豊の凡な性格な一豊と、自分は前に出ず影日向に夫を支える千代。
とっても面白いです。サクサク読めた。

1巻でのできごと

金ヶ崎の戦い

信長の撤退戦。
浅井家の裏切りで大ピンチ。
しんがりを務めた秀吉と部下として撤退戦を行った。

50石→200石へ

姉川の戦い

顔面に弓を受け重傷
2000石→400石へ

小谷城の戦い

浅井朝倉との最終決戦。

長篠の戦い

武田の赤騎馬vs織田の鉄砲隊

400石→2000石へ

千代の功績

千代は、この路上の事件で、木下藤吉郎こそ、
「織田第一の出頭人」になる人物だと見抜いた。
二流の人物も一流の人物を見込んで使えれば、それだけ才幹もみがかれ、
励みも鍛えもちがうし、幸運が落ちている機会が多いというものである。
「ぜひ、木下藤吉郎様に」
とは千代は言わなかった。
いえば口さがない女とおられるし、第一、夫の「自発的」という名誉を奪うことになろう。

ちょっとした会話で藤吉郎の人となりを見抜く目、
そこに夫を仕えさせようとするけど、
自発的に選んだと思わせるように誘導する能力・・・

この女・・・できるッ!

母親の法秀尼の教えには、男へは訓戒めいたことをいっては、かえってツムジをまげて逆効果になるという。
千代は聡い。
ほのかにおだてている。
おだてられれば、七の能力のものもおのれに自信を得て十ほどのちからをだすこともあるものだ。

女性の地位が低かった時代、賢い女性は夫をおだてて活躍させていたんだね。
俺もおだてて、ちやほやして欲しいなぁ
そうすれば、十でも二十でも・・・・ねぇ?

伊右衛門は、この足掛け四年の持久戦のあいだに、いくつかの武功をたてた。
ずっと、義父の家には帰っていない。
千代からはたびたび手紙がきた。
千代は手紙が上手である。

吉兵衛、新右衛門の妻たち、それぞれの子どもらの言動も、千代の筆を通して伝えてくる。
みな元気いっぱいに暮らしている様子が、眼でみる以上にわかるのだ。

千代は、新参の郎党たちの里まで訪ね、里の様子を書き送ってくる。
これもひとの動きが活写されていて、じつに楽しい。
伊右衛門の家来たちは、みな千代の手紙を待ちかねるようになっていた。

千代には千代の魂胆がある。
この手紙で、夫の伊右衛門の家来を結束させ、団結させ、手足になって働いてくれることを期待しているのだ。
が、手紙の文面は、そういう意図がまったく感じられないほどにみなを楽しませてくれる。

筆まめな千代。
いつ死ぬかわからない戦の最前線、
地元の様子や妻、子の状況って気になるよなぁ・・・
遠方からでも組織づくりに協力する千代。すげぇ

しかも、一豊の上司にも手紙を送っているっていうね・・・
抜け目なさすぎィ!

じつのところ、千代は隣り屋敷の主である茶坊主に、実家の不破家からの到来物などを、しょっちゅう持ってゆき、それとなく、織田家の動きを聞いている。
千代には情報源があるといっていい。
これらのじょうほうによって、千代は千代なりにさまざまな判断をくだしているのだ。

情報は命!
千代が男なら五十万石の国を動かせただろう・・・

千代の見るところ、織田家で人物といえば、身分の差は別として、
羽柴筑前守秀吉こそ第一等であった。
このひとに夫がついてゆけば、まずまちがいはないであろう。
だから、「織田家直参」
ということで伊右衛門が岐阜だけに屋敷をもたず、長浜にも持てといいたいのである。

秀吉が出世して土地を貰ったので、そこについていけ。
と甘えてお願いしている千代。
かわいいよ千代。

一豊「お馬さんが欲しい!」
一豊「でも高いんだ・・・」

千代「買いましょう!」
千代の考えるところ、大馬かならずしも・・・
(中略)
織田家の家中がついに買えなかったほどの馬なら、今日あたり、城中城下で非常な評判が立っているであろう。
それを伊右衛門が買った、となれば、織田家五万の侍の中で際立った話題に乗る。
信長の耳にも入るであろう。
侍の働きは戦場だけではあるまい、・・・と千代はおもった。

そうして、嫁入りで貰った金十枚を一豊に渡したのであった。
翌日、馬を購入した一豊は一躍有名人になる。
そして、信長をはじめ様々なひとに名前を憶えてもらえるのであった。

未だに史実として残っている話。

印象に残っている言葉

「おお、また来たか」
草野も、伊右衛門の出現に驚いたらしい。
真っ白な歯をみせ、懐かしそうに笑った。
当時の武者というものは、敵味方憎しみで戦うものでなく、
戦場といえ、名のある武士は、一種競技に似たゆとりをもっている。

命の取り合いでこの境地になれるって・・・
頭のネジがぶっ飛んでますよ。

まとめ

妻と二人三脚で出世していく山内一豊!
二巻も楽しみです!

【功名が辻2巻】時代は乱世、本能寺の変から秀吉が関白に。時代の波を乗りこなせ!【司馬遼太郎】

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