エッセイ『カワムツの朝、テナガエビの夜(野田知佑 著)』の感想レビュー。
綺麗な川で一日中遊んでいたいよね。
あらすじ
一人のカヌーイストが描き出す日本の原風景
徳島県日和佐に居を移したカヌーイストの野田さん。
海・山・川、色濃くも繊細な自然に囲まれた暮らしと、各地の川から眺めた日本の自然への想いを綴った珠玉のエッセイ集。
雑誌BE-PALに2001/4~2003/4号まで連載された『のんびり行こうぜ』を編集したもの。
感想
梅雨がなかなか明けず、川遊びに行けないので本著で川成分を補給。
雑誌で一定期間の連載部分を一冊にまとめたもので、
その時々に起こった出来事をまとめたエッセイ集。
海や川に出て遊んだり、仲間と遊んだり、たまに政権批判してみたり。
ダラダラと全部読んでみたけど、読んでて興味がある部分や、そうでもない部分の差が激しい本だった。
本の方向性がしっかりしている『川の学校』の方が読んでいて楽しかったな。
【野田知佑】【川の学校】川遊びはこんなに面白い!子供を川ガキに育てよう!
※名著なんですよ
本著でも川の学校運営の最初の方がちょろっと出てくる。
良くも悪くも散文的で雑誌でその時々に面白かったことが書いてあるので読んでいて楽しい気分になる。
自然を相手にしている人たちは、しっかり自立していて、言葉の端々にハッとさせられることが多い。
そして、川の楽しさを再認識したので、早く梅雨が明けないかな~
なんて思う訳です。
作中の言葉
「第三世界や未開の国の旅の番組を見ていつもきになるのだが、
ここの人たちはとても貧しいが心豊かに暮らしている。
という意味のことを必ず言うね。
あれは嘘だな。
ああいう偽善はこの番組ではやめようよ。
人間が貧しくて、心豊かに生きられるはずがないじゃないか。
それなら東京に住むのをやめて自分が田舎に住んでみろといいたい」
良いこというなぁ
不自由が楽しいと貧困はまた別なんだよな
こういう人たちって貧しさからくる豊かさ?みたいなのを崇めていると思っていたよ
カナダ北部での暮らしの困難さ。
ここでの生活は毎日が自分へのチャレンジだ。
その辛苦と孤独の代償として、われわれは自由と自立、自己への信頼感を手にする。
自由と自立、自己への信頼感。
いいなぁ、かっこいいなぁ
大人になるっていいな、と僕が思ったのは、ニ十歳を過ぎた頃だ。
周囲のくだらん大人たちのいうことを無視できるようになったからだ。
大人になるというのは自由になるということだ。
くだらない周囲の大人たちの干渉や拘束からの自由。
彼らは事あるごとに「世の中は甘くないぞ」といって、ぼくの夢を押し潰そうとした。
大人ってのは自由になれること!
大人になっても束縛されていませんか?
・・・僕です。
その後、配達を止めて、ぼくとDは一軒の家を借りて一緒に暮らした。
前途に明るいものがさっぱり見えず、
それでも毎日が理由もなく楽しく、
いいことがありそうな気がしていたのは若さのせいだ。
今をしっかり生きている人間って感じだよね。
田舎で暮らすときは自己を強烈に主張して、
あの人はあんな人だからと周囲の人に諦めさせなければならない。
育ちも考え方も趣味も価値観もまるで違う人たちの間に入る時は、
彼らと距離を置いて付き合ったほうがいい。
自分のエゴを殺して生きるのが嫌だから田舎に来たのだ。
みんなと同じように、周囲と同化して生きるのでは意味がない。
自我を100%満足させて生きること、自由に生きることを人生の最優先事項とする。
ぼくも顔色を伺って生きるのをやめようと頑張っているけれど・・・
なかなか難しいねんな。